【時計の話+投資の話】

投資

20代で高級時計を買いまくった僕が、すべてを売却して気づいた「本当の価値」

20代前半の頃、私は高級時計にどっぷりハマっていた。 今思えば、あれは完全に狂気の沙汰だった。パテック・フィリップ、ロレックス、オーデマ・ピゲ、A.ランゲ&ゾーネ。世界三大時計に加えて、ドイツ最高峰のランゲ1まで手を出し、 欲しいと思ったら買って、また買って、さらに買っていた。最初の動機は単純だった。見栄とステータス。「良い時計をつけている自分」に酔っていたし、 時計が“自分の価値”を補ってくれる気がしていた。

■ 投資になると気づいた瞬間

そんな私の価値観が変わったのは、あるロレックスを売却したときだ。購入から1年後、ふとした理由で売ったら── 売却額が購入額を大きく上回った。しかも時計の売却益には税金がかからない。保有していても場所を取らないし、固定資産税も車検もない。オーバーホール代はかかるが、家や車に比べれば微々たるもの。この瞬間、私は気づいた。「時計は浪費ではなく、資産になり得る」ちなみに私の時計投資収支は以下だ。参考までに。

■ ただし、誰もがそのチャンスを掴めるわけではない

「運が良かっただけだろ」と言われれば、それまでだ。でも、こういう思考の人は、 たとえ同じ時代・同じ環境にいても時計を買わない。もちろん他の資産にも投資しない。保証がないと動けない。いわゆる “貧乏マインド” だ。私も最初はただの見栄だったが、 投資になるとわかってからは、徹底的に“価値のあるもの”を分析して買うようになった。

■ 答えはシンプル。「最高のものを買う」

価値が落ちないものには共通点がある。最高のもの。高くても付加価値があるもの。時計でいえば、答えは明確だ。

  • パテック・フィリップ → ノーチラス、アクアノート
  • ロレックス → デイトナ、サブマリーナ、GMTマスター
  • オーデマ・ピゲ → ロイヤルオーク
  • A.ランゲ&ゾーネ → ランゲ1

車でいえばフェラーリ、 マンションでいえば最上階の部屋を買うようなものだ。

■ 今から時計投資を始めるべきか?

僕の答えは「NO」

ここまで散々時計を買い、売り、利益も出してきた私だが、 「今から時計投資を始めるべきか?」と聞かれれば、答えはNOだ未来の相場は誰にもわからない。これは大前提だ。ただ、私がそう言い切る理由は、過去の実体験にある。

■ ノーチラス5711の例が象徴している

私が300万円ほどで購入したノーチラス5711。 相場が1000万円になったとき、 「これ以上は上がらない」というのが市場の大方の見解だった。しかし、結果はどうだろう。今では2000万円。こういう“常識を超える値動き”が起きるのが時計市場だ。もちろん、価格が上がらないと言っているわけではない。10年、15年という長い時間軸で見れば、2500万、3000万になっている可能性は十分にある。ただ、その時間を使うなら、他にもっと効率の良い投資先はいくらでもある──これが僕の正直な感覚だ。それを知っている僕でさえ、今からの時計投資はおすすめしない。理由はシンプルで、 投資はエントリーポイントがすべてだからだ。株も時計も車も家も、すべて同じ。安く買って高く売る──投資の基本だ。今が高いのか安いのかは神のみぞ知る。ただ、僕の経験則では、 今の時計相場は割高で、上振れ幅が小さく、リターンが少ない。投資としての魅力は薄い。

■ とはいえ、時計好きのために

“普段使い × 資産価値”の話をしよう

読者の中には時計好きも多いだろう。 そこで、 普段使いしながら資産価値が落ちにくいブランド・モデル をお伝えしたい。結論から言うと──

ロレックス以外です。

「え?」と思った人もいるはずだ。理由を整理しよう。

■ ロレックスは頑丈だが、“普段使い”には落とし穴がある

ロレックスはパテックやオーデマより頑丈。“労働階級の時計”と揶揄されることもあるが、 普段使いには最適だ。ただし、 普段使いしながら資産価値を落とさない という前提が入ると話が変わる。理由はひとつ。

■ 打痕(深い傷)が入ったら終わり

ロレックスは打痕が入ると、 ポリッシュでは取り切れず、ケース交換が必要になる。そしてケース交換をした瞬間── 価値が一気に落ちる。ロレックス市場はマニアが多く、 オリジナルかどうかはすぐにバレる。「傷のまま売ればいいじゃないか」 と思うかもしれないが、 買い手がつかない。買取業者も知っているから、買い叩かれる。普段使いすれば、どれだけ気をつけても傷は入る。傷を気にしながら時計を使うなんて、カッコ悪い。

■ 僕が普段使いしていたのはノーチラスとアクアノート

この2本は本当に優秀だった。

  • 傷を気にせず使える
  • ケース交換しても価値が落ちない
  • むしろノンポリに近い良個体として高額査定

実際、僕は両方ともケース交換したが、 売却時はほぼ上限額で売れた。

■ 結論:今から投資目的で時計を買うのはおすすめしない

しかし──

  • 時計が好き
  • 見栄も張りたい
  • ステータスも欲しい
  • しかも普段使いしたい
  • それでいて資産価値も落としたくない

そんな欲張りな人におすすめできるのは、次の3つ。

■ ノーチラス

■ アクアノート

■ ロイヤルオーク

この3つは、 普段使い × 資産価値 × ステータス のバランスが最強だ。

■ そして最後に

若いころに高級なものへ憧れ、背伸びしてでも手に入れた体験は、間違いなく僕を成長させてくれた。ただ、買った瞬間の高揚感だけを求めたり、周りに観客を必要とするような買い物は、もうしなくていい。若い頃の憧れは尊いが、他人の目を基準にした買い物は虚しい。本当に大切なのは、他人の視線ではなく、自分の価値基準で選べるようになることだ。時計を手放した今でも、あの頃の衝動と学びは静かに時を刻み続けている。結局のところ、何を持つかより、どう生きるか──その答えはいつだって自分の内側にある。

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